|
■ CPC研究会趣意書 |
CPC*研究会は、わが国がエネルギー危機に直面した1978年に、石炭・石油・重質油等の処理技術とそれらの有効利用を考える勉強会として発足しました。発足直後はこれらの処理技術を中心としていましたが、時代の要請に柔軟に対応して、現在の中心はむしろ炭素材料の利用技術およびその周辺技術に移行しています。この間、年ごとに成果を編集して報告書として刊行してきました。この報告書は高水準で良くまとまった内容であると関係各位から高い評価を受けています。
炭素材料はコールタールピッチ・石油系重質油あるいは炭化水素化合物を主原料とし、古くからブラシや電極をはじめとして工業材料の中で特異な位置を占めてきました。しかし、最近は電子・電池材料・生体材料・宇宙航空産業用材料等であり、機能性材料、構造材料、極限材料としての色彩を強め、新しい分野への展開を見せています。これを支えているのは、黒鉛・フラーレン・カーボンナノチューブ・グラフェン・カルビン・ダイヤモンドの微結晶体の多様性制御や、微小球体・繊維・フィルムそしてバルク体等のマクロ形態の多様性制御をめざした基礎的研究・開発研究のめざましい発展です。
反面、炭素材料を利用した地域的な環境問題・資源リサイクル問題・地球温暖化問題への取り組みも昨今の大きな社会的関心を集めています。こうした傾向が今後一段と加速されることは必至で、これだけ広範かつ激しい状況変化を正確に把握することは容易なことではありませんが、本研究会としては努めて取り入れて行きたいと考えています。
本研究会は、この大きな潜在的可能性を秘めた炭素に関連する原料から材料の製造、利用までの最新の研究・開発動向を調査し、炭素材料を直接扱っている研究者・技術者はもちろんのこと、炭素材料に多少なりとも関連する分野の方々、資源・エネルギー・環境問題に取り組んでいる方々に、整理・統合された技術情報として提供します。これらを通して、炭素材料やその関連産業、エネルギー・資源・地球環境問題に関係する産業の発展に寄与したいと考えています。
|
*CPCは、Chemistry and Physics of Carbonsの頭文字をとっています。 |
|
|